第一章 森に埋めた思い出

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 遠見の首は、日々進化しているが、自分では掻けない。 「あ、蚊に刺された。薬を付けてくれる」  長い首に、虫刺されの薬をつけて、ついでに、虫避けのスプレーをしておく。 「氷花君、その画面の角度を変えてくれる」 「…………」  角度も操作できるようにしておこう。 遠見に、自分の事はより自分でできるように、機械の補助を足してゆくのが、 慶松の仕事でもあった。 「氷花君、客にお茶を出してきて」 「雑用に来たのではありません」  遠見も、聡子には面倒を掛けている自覚があり、あまり言えないようだ。 でも、俺には容赦なく用事を言ってくる。 俺は茶を淹れると客に持ってゆき、再び部屋に戻った。
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