第一章 森に埋めた思い出

2/24
前へ
/500ページ
次へ
 金曜日、営業一課の柴田と駅前で飲んで帰ると、 ラーメン屋松吉の裏でアルバイトが何か口論をしていた。  時計を見ると、九時といったあたりで、 いつもならば店長の慶松(けいまつ)が上がる時間であった。 「どうしたの?」   ラーメン屋松吉の裏で口論していたのは、アルバイトの大学生、西田と鈴木であった。 いつもは仲のいいアルバイトであるので、何か仕事上でのトラブルかもしれない。 「西田が配達の注文を請けてしまって。でも、松吉は、最近は配達をしていないのですよ」  店が軌道に乗るまでは、定食の配達などもしていたが、今は店内のみでも手が回らず、 配達は断っていた。 それなのに、西田が注文を請けてしまったという。
/500ページ

最初のコメントを投稿しよう!

275人が本棚に入れています
本棚に追加