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赤いパッケージの、チョコレートの中にはウエハース。
それを半分に割る、その指に目が行く。
それが徐々に私に近付いてくる。
「ほら、俺半分でいいから、残りお前にやる」
いつもそう言って、私の唇にそれを押し当ててくる私の幼馴染み。
いつまでも子どもじゃあるまいし。
周りの目とか気にしてよ。
……ばか。
仕方無く僅かに開いた口にそれが押し込まれる。
刹那、唇に彼の指が触れる。
……ばか。
だから、それ……恥ずかしいって!
彼が満足そうに私の顔を覗き込む。
「旨いか?」
耐えられずに目を伏せながら頷く。
「じゃあ仕方無いからほら、おかわり」
そう言ってもう一つを大袋から取り出し、パキンと割ると一つを私の唇へ。
私が口を開きそれをくわえると、彼はまた満足そうに残りの一つを食べた。
甘いの苦手だから一つ全部食べられないって前に言ってたくせに、それトータルしたら一個分じゃん!
……ばか。
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