第1章

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アパートの自室に帰ってからも、その興奮はなかなかおさまらなかった。 俺は女の子に対してこんなに大胆になったことはない。 女の子と話したことなんて数えるほどしかないくらいだ。 一体俺はどうしてしまったんだろう―― そうしてしばらくぼうっとしたあと、俺はやっと、彼女から連絡先をもらったなら連絡を入れてみようと思うにいたり、ズボンのポケットから携帯をとりだした。 いきなり電話を入れるのはさすがに気がひけたので、まずはメールを入れてみた。 『バス停まで案内させていただいた加賀です。無事にバスに乗れましたか。駅にはもう着きましたか。』 するとすぐに、『まだバスのなかです、先程はありがとうございました』、という返事がきた。 その後何回かやりとりをして、その日は終わりにした。 しつこくてキモくて下心まるだしの嫌な男だと思われてはいないか。 思っているならここまで返事をくれたりはしないよな。 じゃあ、俺に気があるってことか。 いや、たまたま一回会っただけでそんな想いは抱いてくれないよな。 そんなこと考えて、キモすぎだろ、俺…。 あぶくのように脳裏に浮かんでは消えゆく想いたちに落ち込みを深めながら、俺は寝入ってしまった。
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