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 そこは閉鎖された暗い空間だった。  四方は頑丈な壁でできており、高い天井には細い窓があった。そこから差し込む日の光だけが周囲を照らす唯一の明かりだった。日が落ちると、闇が満ちた。 「ここは……どこなんだ?」  と、誰かがつぶやく。 「さぁね、わしにはわからん」  その隣でべつの声がこたえた。 「あんた、いつからここにいるんだ?」 「わしかね? そうさな……5日ほど前かな? おまえさんは今日ここへ放り込まれたんだな」 「ああ、そうだが……」 彼はうなずき、天井を見上げながら言った。「おれたちはいつまでここにいるんだろう」 「それもわしにはわからん」 「あたしも知らないわ」  もうひとりの声が残念そうに言う。
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