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「その日が早く来るように、祈りましょうよ」 「そうだな。あの天井の細い窓の外の夜空に向かって祈ろう。早くここから出られますように」 「ならばわしも祈るとするか」  すると三人の願いは、いともあっさりと、翌日にかなえられた。 「1週間で、たったこれだけか……」  10円玉と5円玉と1円玉を1枚ずつ手のひらにのせ、 「お参りシーズンではないとはいえ、不景気なもんだな」  場末の小さな神社の神主はそうつぶやくと、賽銭箱の鍵を元へと戻した。 〈了〉
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