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湊の手により、春と陸の前にもプレミアムスウィートいちご大福がちょこんと鎮座し、手に取られるその時を待っている。
しかし湊は、自分用にも買った一個と、食べてしまった半分の片割れがある事に気付き、焦った。
「あ、これじゃズルいかな?」
どうしよう、もっと半分する? と困り顔で糸を構える湊から、春は糸を取り上げた。
「いいよ、全部食えよ湊」
春と陸は、先に一個ずつ食べた事を話した。
「そもそも、湊へのプレゼントにしたくて買ってきたんだけどね」
暖かいお茶を注ぎながら、陸は微笑む。
それから春と陸は声を揃えた。
「「湊、誕生日おめでとう」」
蝋燭なんて無いし、ケーキでもないけど。湊はこの大福が大好物なんだって知ってるから。
湊も、自分の大好物を二人にも味わってほしくて。ちょっと割高だけど、一緒に楽しみたくて。
プレミアムな時間は、プライスレスだから。
三人でお祝いしようと思ってたんだ。
プレミアムスウィートいちご大福。
甘酸っぱい気持ちを、甘いあんこで優しく、柔らかいお餅でそっと包んで。
一緒に食べたら、最高の時間を分けあえる。
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