第1章

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数軒まわるとパターンがわかってきた。挨拶をすると俺達をじっと見る。プレートを確認すると竹で編んだ入れ物を持ってきて、巾着に飴玉を入れてくれる。この流れらしい。 流れはわかった。今のところミスはない。だけど、ここの住人達の言葉が俺達を悩ませた。 ソフトクリームを食べていた子供が玄関まで来た時に、お母さんは子供の口を拭きながら『こんなに耳の回りを汚して、恥ずかしいでしょ。後で目を磨きなさいね。』 そう言って俺達に笑ったんだ。 そして別の家では、お爺さんがお婆さんに、『鼻薬はどこかの、痒くてたまらん』と、目をパチパチしながら言った。お爺さんが目を手で擦ろうとしたら、お婆さんは『鼻を擦ったらいかんよ。』と言った…。 ん?何だか変だ。 タッちゃんと俺の思った事は同じだった。道を歩きながら、変だと思ったけど聞き返さなくて良かったと、お互いを誉めあった。多分、不思議な事が起きているんだ。問うてはダメ事。 そして、極めつけは、女子高生の会話だった。耳に開けたピアスの数がハンパない。そのピアスを見て『明日さ、歯に穴を開けようと思うんだよね。』 『いいんじゃん?開けてあげよっか』と耳を触る。 ……。 お昼になって一度、待機所に戻った。
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