第1章

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俺もタッちゃんも気になっていた事は同じだった。 「なあ、リョウ。おじちゃんがさ、無事に帰っておいでって言ったろ。」 「うん。言ったね。何か怖いんだけど…。」 タッちゃんは、あの町の人達の会話が俺達を試しているんじゃないかと言った。あのお母さんは子供の口を拭きながら耳の回りを汚してと言った。そして目を磨きなさいね…それは歯を磨きなさいねという意味だ。 「タッちゃん、もしかして、問うてはならぬっていうのを俺達にさせようとして聞きたくなるような事を言ってるのかな…。」 「リョウ。お前にしては上出来だ。」 「なにぃ!俺をバカにしてんのか!酷いよ、タッちゃん。」 「ごめんごめん。バカにしてないよ。多分、リョウの言う通りだと思うよ。どんな理由かわからないけど、俺達に質問させようとしているんだ。お婆さんの言葉を忘れずにっておじちゃんも言ってたしな、これは、めんどくさそうだな。」 絶対に聞き返さないように、問うてはならぬを何度も心の中で唱えて、午後の飴玉集めに出かけた。
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