第1章

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まずは食事の準備はしなくていい。用意してくれる。お風呂や洗濯、部屋の掃除は普通と変わらない。そして、明日から出かける時は廊下の扉から出る。 集めた飴玉を入れる巾着。戻ったら本殿のガラスの入れ物の中に入れる。 明日から、この町だが町ではない。知ってるはずの人達が知らない人になる…。考えられない。 お婆さんの言った言葉を忘れないように。 「タッちゃん、お婆さんが言った事って、えっと…何か疑問に思っても決して問うてはならぬって言ってたよね。問うてはならぬって事は、聞いたらダメって事か…。それから、聞こえた言葉をよく考えて理解するだったよね?」 「そうだな。決して問うてならぬぞって念を押してたから、余程の事なんだろうな。という事は、あれか?聞きたくなるような事が起きるという事か?」 「うわっ…何か、俺…自信ねぇ…。」 「ダメだよ。リョウ、選ばれたからには、ちゃんと役目を果たさないと。大丈夫だ、俺もいる。ふたりでやり遂げような。」 「うん。よろしくお願いします…。」 ぶっと吹き出してタッちゃんは笑った。だけど俺は不安だよ。ちゃんと出来るかな…。 小さい頃から、タッちゃんは頼りになる。ひとつしか違わないのに、凄くお兄さんみたいなんだ。ん?俺があれなのか?いやいや、俺は年相応だ。タッちゃんが凄くお兄さん過ぎるんだ。
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