そもそも美人は本当に得なのか?

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美人は人生のあらゆる場面で得をする。 学生時代の恋愛。 年齢が若ければ若いほど、人は「顔」で異性を好きになりやすい。 学生時代を思い出してみて。顔が可愛ければ、隣のクラス、さらには学年、さらにもっとすごい顔の持ち主は学年すらもビュオォーンと飛び越え、たちまちその噂は学校全体にまで広がる。 休み時間になれば別のクラスの男子が一目だけでもその可愛い御顔を、と覗きに来て、ひとたび廊下を歩こうものなら男子の視線を一身に受ける。そんな学生生活を過ごした可愛い子は思うのだ。 「可愛く生まれてきて良かった。」と。 楽しかった学生生活も終盤。 望まずしても、必ず人生の選択を強いられることになる。自由に伸び伸びと育った生徒らに何度も家庭科の授業をボイコットされていた担任が、何故かこのときだけは、と張り切りながらも目をまっすぐに見つめて静かなトーンで言う。「あなた、将来どうするの?」と。でも大丈夫。知ってますか先生。実はまだまだ根強く残っているんです。 「顔採用。」 晴れて就職先が決まり、仕事先でもまだまだ続く。 でも、学生時代のようにはいられない。お局様からやっかみを受けないよう、人一倍細心の注意を払う必要がある。そしてもう1つ、ずぅっと自分に熱い視線を向けている顔面脂ぎっとぎとの上司に対して念を送ることだけは忘れない。ていうかなんで座ってるのにはぁはぁ息切れしてんのよ。「頼むから、ストーカーにはならないで。」 でも大丈夫。すかさず同僚の男性陣が待ってました!と親身になって手を差し出す。「相談があったらいつでも乗るからね。もし良かったら今夜2人で…」あ。コイツらのがキケンだったのか。 全く、一体いつ心が休まるのやら。 あれ。美人は本当に得、なのか?
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