半分こ

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半分こ

「はい、半分こね。」  お姉ちゃんはいつも、ヒナコにそう言って、何でも半分、ヒナコにくれた。 お姉ちゃんが、誰かに一人だけお菓子をもらった時でも、すぐには食べずに 必ず家に持って帰ってきて、半分こしてくれるのだ。 自分ひとりでおつかいに行って、お駄賃をもらった時も、かならずヒナコに 買ったお菓子を半分くれたし、お金を半分もらったこともある。    自分で行ったおつかいのお駄賃なんだから、全部自分で使っちゃえばいいのに。 ヒナコがそんなことをお姉ちゃんに言ったことがある。でもお姉ちゃんは笑いながら 「だって、ヒナコはお姉ちゃんの特別なんだよ。ヒナコと喜びも全て分け合いたいもの。」 と言って、ヒナコの頭を撫でてくれる。  優しいお姉ちゃん。大好き。 いつだって、お姉ちゃんはヒナコに優しかったし、ヒナコのわがままを全て笑って許してくれるのだ。 ずっとずっとそんな日が永遠に続くと思っていた。  最近お姉ちゃんに彼氏ができた。 お姉ちゃんは高校生だけど、彼氏は先輩で大学生だった。 ヒナコとお姉ちゃんは1歳しか年が違わないので、その先輩の事はヒナコもよく知っていた。     
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