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     そうした歴史背景を踏まえれば、   長らく暗礁に乗り上げていた   ”売春・博徒等の合法化決議案”が正式に可決され   それによって各都市の繁華街が現在のような形に   造り変えられ、   都市全体が活性化した事は、新法案の成立後   新しい街へ職を求め・住居を求めて大挙して   押し寄せた超氷河期世代の若者大多数にとって   歓迎されるべき事でもあったのだ。   かつては”社会のゴミ””人間のクズ””死神”   などと、好き放題の暴言や陰口をぶつけられ、   一般庶民の最も嫌悪する対象でしかなかった   マフィアとヤクザ達は、いち早くその時代の   新しい波に乗って様々なマーケット(市場)を構築し、   拡大していった。   元々あちこちに点在していたカジノ、競艇競馬場、   劇場、遊戯場などの遊興施設をひとつのエリアに   まとめ一大高級会員制クラブを造り上げ、   それら経営権を賭け世界の大富豪達が競り合うよう     仕向けたのである。     かくして、7人の大富豪オーナーによる共有資産   という位置づけの巨大歓楽都市が   東京都23区の中心 ―― 中央区・千代田区・港区   渋谷区・新宿区・豊島区・文京区、に建築され。   それらの7区画はまとめて特別行政特区   ”ネオ・ユニバーサル・シティー”(N・U・C)   に生まれ変わった    各オーナー達はこぞってN・U・Cに投資し、   またそれによって莫大な利益を得るようになった。   その恩恵を受けたN・U・Cも見る間に       ”東京圏いち危険なエリア”から      ”誰もが1度は訪れたい人気観光地”と   変貌を遂げていったのだ。      総合未来都市ナンバーワンの名をほしいままにする   N・U・Cは整備された美しい高級住宅街や、   アメリカのラスベガス並みに多種多様な   カジノホテルがある事で一躍有名になったが、   東日本随一の花街としても世に聞こえており、   そちらの方も高い需要を誇っていた。  
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