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  あ~ぁ ―― 負けた 負けたぁー……、      今日も完敗で、すっからかんのグリコの   お手上げマークだわ。      まいったな~、   漫喫に泊まる金まで使(す)っちゃったぁ……。   このまま帰ればまず間違いなく母上と初音姉様に   どでかい雷を落とされる。   吹き抜けていく11月の木枯らしは、   痩せぎすの体にはかなりしんどく、おまけに……   久しぶりのア**セッ*スで酷使した穴が   ズキズキ痛んで、長く歩いていられず、      数百メートル前方に見えた児童公園まで   休み休み歩いてやっとの思いで辿り着いた。         ”あぁ――そろそろ、ここでの    セルフウォッシュレットも    しんどい季節になってきたなぁ”        なんて考えながら、1秒だって早くさっぱり   したくて公園のトイレの手洗いシンクで   股間を洗っていたら      ジョギングの途中らしいおっさんが入ってくるなり   ボクを見て立ち竦んだ。         そりゃそうだ ―― 誰だって、公共の公園の   トイレで男が下半身丸出しで股間を洗っていれば   物凄く驚くだろう。         ……ってなワケで、そのおっさんとボクも   しばしの間、呆然として互いを凝視し合って   しまったが、ボクの方が一瞬早く我に返った。         見せもんじゃねぇーっつーの! 「なにガン見してんだよ。そんなに男のナニが    珍しいか??」     あんただって同じもんぶら下げてるだろがっ。 「あ、いや、私はただ、顔を洗いに入って来ただけ  なのだが……取り込み中のようだな、他のトイレへ  行くよ」       と、そのおっさんは踵を返した。        気を取り直しボクは股間洗いを再開。      でも立ち去ったと思っていたさっきのおっさんは   何故か? 2~3歩進んだ所で立ち止まっていて、   背中でボクの気配を伺っている。         なんだ? こいつ……。      気味が悪くなったボクは股間洗いも早々に切り上げ   そのおっさんが立ち止まっている出入り口とは   反対側の方から出て行こうとしたけど……    「……マモ……」   おっさんが不意に漏らした小さな呟きに、   我が耳を疑い足を止めた。      
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