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ボクがもう1度踵を返し外へ歩きだすと、
彼も慌ててボクの後を追ってきた。
「なんで尾(つ)いてくるんだよっ??
あんたとボクの付き合いは8年前に
終わったはず」
「そんなのはお前の勝手な思い込みだ。
私はずっとお前を探していた」
「嘘つけ。イギリスに何度も電話したし、手紙も送った
けどナシのつぶてだった」
この8年、ずっと胸の奥へ押し込んでいた
言葉の塊が洪水のように溢れ出す。
「結局、ボクなんてあんたにとって留学へ出発する
までの都合のいい暇つぶしだったんだろっ!
その暇つぶしにも飽きた頃、出発になって
清々したと思ってるくせにっ!」
「そんな事は断じてない! とにかく……どこかで、
落ち着いてゆっくり話さないか? 頼む」
「嫌だ。今更話し合って何になる?
このまま別れた方がお互いのためだと思うから
さよなら、羽柴さん」
ボクはそのまま公園の外へ走り出て、
全力疾走で息の続く限り走り続けた。
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