半分こ

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ある時、ひとりぼっちじゃなくなった少女はまた困った顔をしていました。 どうしたの、と隣の少年は聞きました。 少女は答えます。 「わたしは半分こをしたのに、残った半分がいつの間にか消えてしまったのです。あなたが全部持って行ってしまったのですか?」 違う、と少年は少女に教えました。 違う、孤独は一人が好きだから、二人でいるといなくなってしまうんだよ。 少女の疑問は解決しましたが、少女はそれでも困った顔をしていました。 どうしたの、と少年は聞きました。 少女は答えます。 「孤独が消えたのなら、もう一緒にはいられないのですか」 なら、と少年は少女に提案しました。 なら、今度は時間を半分こしよう。 そして少しの時が過ぎた後で。 真っ白いドレスを着た少女だった女は、女のベールを上げた少年だった男に向かってにこにこと笑い、ありがとうと言いました。 そして、夫婦になった二人は喜びや悲しみ、怒りに楽しみも半分こして、死が【二人】を半分に別つ時まで、幸せに暮らしました。 めでたし、めでたし。
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