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ある時、ひとりぼっちの少女が困った顔をしていました。
少女は、それなりに可愛くて、それなりに裕福で、それなりに賢くて、それなりに才能がありました。
顔を押さえて蹲っても、道端でぐったりしても、文字を見てうーんと唸っても、絵筆を手にして悩んでも、誰も少女を気にも止めません。
何故なら、少女は全てが中途半端にできて、中途半端にできないからです。
いちばん不幸でも、いちばん幸せでもないからです。
ありとあらゆるものを半分だけ持った少女に、どうしたの、とたまたま通りかかった少年は聞きました。
少女は答えます。
「わたしはかつて、この世にあるすべてのものを持っていました。でも、もうそれらは全部半分こにしてしまったのです」
なら、と少年は少女に提案しました。
なら、君の孤独を俺と半分こしよう。
少女は驚きました。
だって、少女はもうすべてのものを半分こしたと思っていたのです。
少年が少女から孤独を半分もらうと、ひとりぼっちだった少女はたちまち【二人】になりました。
少女は不思議に思いました。
半分こをした筈なのに、孤独はあっという間にどこかへ消えてしまったのですから!
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