お星さま

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別に、覚えてくれていなくてもいい。 でも俺には、輝いた日々だっただけだ。 それだけのこと。 それを二人に押し付けるのは、どこか間違っている。 俺の親だとしても、それぞれの人生があるわけで、 それを僕が邪魔していい権利は無かったのだろう。 今も、あの頃も。 大学生になった今、『愛されたい』などと思うのはナンセンスだ。 「なーんて。小説のネタだよ。」 「そうかよ。中、入るぞ。夏って言っても湯冷めしたら風邪ひく。」 「お母さんみたい。」 「うるさい。せめて、お父さんにしろ。」 「…」 「…」 「…お母さん。」 「おい!」 「お茶ー。」 「あー…はいはい。ソファで待ってろ。」 「はーい。」 こうやって今、笑えるからいい。 笑えない日々は、単なる苦痛だって俺は知ってるから。
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