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「いや、急に下から突風が吹いて、捲れ上がらないかなぁって」
コイツ最低だ。
「なんだよ小井澤、そんなジト目で見んなよ。この時期の男子はみんなこんなもんだろ?」
そしてそんなことを平気で言ってのけた。お前、そろそろ羞恥心を持てよ。
コイツの名前は平沼(ひらぬま)康助(こうすけ)。オレンジ色のツンツンとした短髪に黒い皮の時計が印象的である。目立つ頭をしているのにその中身はスッカスカで、エッチなことになると目がない。まさに思春期真っ盛りな奴である。ちなみにコイツは高校からの付き合いのため、俺のことをあだ名とかではなく普通に『小井澤』と呼ぶ。
「いやさすが『助平(すけべえ)』。相変わらず我が道を全力疾走してるな」
そして平沼のあだ名は『助平(すけべえ)』。名前に『平』『助』が入っていたのと、この恥ずかしげもなく見せる言動から、周りからそう呼ばれている。
しかし本人は、そのあだ名に対してもそれほど嫌悪感は持っていないようだ。
「ありがとうさん。どう? お前も他の人たち待つ間、一緒にスカート見る?」
「……いや、遠慮しておくわ」
さすがに俺はそんな自分の株を下げるような真似はしたくない。
「まぁお前には無縁の話か。だって、井上さんがいるもんな」
助平はそう言って俺の肩を叩くと、井上を一瞥する。
「だから、別に俺と井上は幼馴染っていうだけで、そんな関係じゃねぇよ」
「はいはい、わかったわかった。活発的で可愛らしい幼馴染を持ってるって羨ましいもんだねぇ、おい!」
「やめろ。俺と井上のこと、そんな目で見んな」
「おれはそんな目で見てないしお前も見てないよ。おれはただ純粋に――井上さんのおっぱい見てたんだ」
やめろ。俺の幼馴染をそんな目で見んな。目ん玉もぎ取るぞ。
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