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「おーい。お待たせ~」
校舎の方から声がかけられる。
そちらに視線を振ると、自分の目に映ったのはラフな感じで校舎から歩いてくる天然パーマが悪目立ちする男と、その後ろをピョコピョコ歩く小柄なその彼女さんの姿だった。
その男の名は天飛(あまとび)鳶(とんび)。俺たちのグループをまとめているリーダーのような存在の男で、180センチほどの身長に、陸上選手のようなしまりの良い筋肉。アクティブなのが伝わってくる浅黒い肌。あまり似合わないうねりにうねったパーマ。そして自信に満ち溢れた熱い笑顔を振が特徴的な男子生徒で、その存在感と迷いのない目から、人の上に立つ仕事を任されることが多いという。ちなみに自分が所属するクラスの委員長もしているようだ。
そんな彼の後ろから、天飛の彼女さんが、申し訳なさそうに顔を出す。
「……あ、あの、みんな待たせてごめんなさい。お待たせです」
小さくなりながらそばを歩く天飛の彼女は、音無(おとなし)愛(あい)と言い、身長が150センチほどしかなく、手足もとても小さい。瞳はリスのようにクリッとしており、目、鼻、口のパーツはぬいぐるみを彷彿とさせるほど小さい。童顔で、よく中学生をすっ飛ばし小学生に間違えられるようだ。ちなみに男の中でもわりと背の高い方に入る天飛の隣に並ぶと、もう可愛らしい小動物にしか見えない。
天飛は頭を掻きながら困ったように口を開く。
「いや~参ったぜ。帰り際に先生が雑務仕事押し付けてくんだから――」
その途中、静まりかえった皆の様子に本人は気が付く。
「――うん? どした? 何かあったか?」
天飛が立ち尽くす俺たちを見て尋ねる。
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