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〔まつりくん、勉強頑張ってください。天国の命運は、あなたにかかっています〕
〔まつりぃん。気を入れて、勉強してね。じゃないと、世の中は支配できないわよぉ~〕
自室の机に向かい、学校から出された宿題に取り組む俺。
そんな俺の、右からは小柄で愛嬌のある女の子(天使)が、左からはスタイル抜群のお姉さん(悪魔)が、机を覗き込んでいた。
天使が横目で悪魔を睨む。
〔あのですね……まつりくんは、天国の英雄になるんです!〕
それに悪魔が応戦した。
〔何言ってるのよぉ~。まつりぃんは、次期魔王になるお方なのよぉ~〕
〔そんなことないです! 心優しいまつりくんは、そんな姑息で最低な薄汚い魔王なんかにならないです!〕
〔あら? 賢いまつりぃんは、そんな救う価値もない低レベルな極小国なんぞに見向きもしないわよぉ~?〕
〔いくら小さくて弱い国と言ってもうちは天国です! そんな目も当てられないほど気持ち悪い生物がうじゃうじゃいる魔界に住むぐらいなら、持ち前の運動神経を発揮してこっちの世界を救ってくれるはずです!〕
〔その生物に戦争で負けそうなのはどこの頭空っぽな生物なのかしらねぇ~。中身空洞だから天になんか登っちゃうのよ。それよりその持ち前の前向きさで、こっちの魔界を発展させる方がよっぽど楽で面白いわよねぇ?〕
〔もう、何ですか! この、しわしわ顔ブヨブヨおばさん!〕
〔う~む。エセ童顔の若作りババアには、言われたくないわねぇ~〕
〔ひ、酷い! 酷いです!〕
〔あら何よぉ~〕
掴み合う両者。
二人は利き腕で拳を握るとそれを大きく振りかぶり、お互いの顔面目掛け殴り始めた。
うわっ、なんて男らしいケンカだ!(仮にも外見は女性同士です)
しばらく殴り合うと、次はお互い手に付くものを投げ合い始めた。
電子辞書や広辞苑、血の付いた包丁やテレビのリモコン、赤く染まった鉈や筆箱、目覚まし時計などが部屋中に飛び交う。
っておい! 今2つほど凶器が混じってたぞ!
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