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少女はおそらくポカンと間抜け面を浮かべているであろう俺に視線を向けると、そっと尋ねてきた。
〔い、今、わたしに、何かしてほしいことはないですか? わたし、それを全力でやりますから〕
女性の方が顔をしかめる。
〔それは反則じゃない? まつりぃんの求めること、何でもできちゃうじゃない。それなら私もそうするわ。まつりぃん。私も、あなたのためなら何でもやってあげるわよぉ。何がいい?〕
〔わたしの真似とかそれこそズルいです。それにお色気で攻めるのはもっとズルいです〕
〔うるさいわねぇ。次期魔王候補者なんだから、魔王になる意志さえ持ってもらえたら何でも良いのよ〕
〔最低ですね。さすが悪魔です〕
〔あなたたち天使に言われる筋合いはないわよぉ!〕
〔なんですか?〕
〔何よ~!〕
2人がまたもめ始める。
俺はまた争いが起きるのではないかと危惧した。
そのとき女性の方が、こちらを向き直す。
〔私たちが争っても仕方がないわ。これはまつりぃんが決めることだから、まつりぃんに決めてもらいましょ〕
〔……そうですね〕
少女の方もこちらを向く。
2人の視線が俺のところに集まった。
ちょっと、俺に注目するのはやめてくれ。
〔それで、小井沢祭さんはどちらにするんですか?〕
〔そうよ、まつりぃんは、どっちにしてほしいの?〕
2人が詰め寄ってくる。
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