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 何はさておき、まずはこの2人の素性を明らかにしておかないといけないだろう。  俺は天使と名乗る方に話しかける。 「それじゃあまずは天使さんの方から、詳しい自己紹介をお願いしたいです」 〔あ、はい! わかりました〕  自称天使は就活の面接のときのような元気な声で返事をすると、やる気に満ちた目で自己紹介を始める。 〔わたしは天界から来た天使で『シャム・エムバライ・スライター』と言います。界神様の下で勇者スカウト部の仕事をしています。座右の銘は『神に逆らうものには制裁を』です。よろしくお願いいたします〕 「あぁ、こちらこそよろしくお願いします」  天使は丁寧に頭を下げた。  座右の銘のところが若干引っかかったが、天使につられて俺も頭を下げる。 「それで、シャる?・エムバライ・スタ? イラー? さん?」 〔『シャム・エムバライ・スライター』です。それと、わたしを呼ぶとき『さん』はいりませんよ。敬語も必要ありません〕  天使が注文をつける。  いや、あの、俺が敬語なのは、機嫌を損ねて家潰されたら困るからですよ?  しかし、俺の問題はそこではなかった。 「シャム・エムバ…… う~ん、言いづらいですね。何か呼びやすい愛称とかないですか?」 〔あ、愛称ですか? 申し訳ないですけど、そんなものは天界に存在しません……〕 「そ、そうなんですか……」  俺は頭を抱えた。  それじゃあ、この名前をちゃんと覚えないとならないのか。  ただでさえ元々人の名前を覚えるのもあまり得意ではないうえに、世界史の偉人の名前はより覚えるのが苦手なのだ。  それが、カタカナ表記の名前とは……
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