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〔何が『自由が大いに尊重される素晴らしいところ』ですかっ！ あんなの、ただ治安が荒れているだけじゃないですか〕
〔天界みたいにルールでがんじがらめにされて『これが幸せです』と教えられた通りのことで喜びを感じて、教科書通りに強引に造ったつくり笑顔をずっと表に張り付けさせられている、天界の人たちに比べれば、よっぽど自由でのびのびしていると思わなぁい？〕
〔そんなことないです！ 天界の人たちは今のルールや法律で、満足すぎるほど幸せを感じて生活をされています。それに、魔界じゃあ差別や恫喝、暴力やゆすりに溢れ、毎日大量の血や涙を流す人が大勢いると聞いています。魔界は自由があると言ってますけど、その人たちは自由でものびのびともしていないじゃないですか！〕
〔私はその天界の人々の感じている幸せが、本当にその人が心の底から望む幸せなの？ って言っているのよ。それにあなた……何を言っているのかしらぁ？ 全然理解できないわぁ。 いい、魔界は自由の世界よぉ？ 差別や恫喝、暴力やゆすりももちろんするのは自由に決まっているじゃなぁい。それに、それをもし誰かが受けてしまったら、その人は今やり返すのも自由、後でやり返すのも自由、周囲を巻き込むのも自由、涙を飲むのならそれも自由なのよ。何をやっても咎められない世界、それが魔界なの〕
〔……何を言っているんですか？ わたし、ちょっとわからないです。第一、いくら縛られたルールの中であっても、その中でその本人様が幸せだと感じておられるなら、それが本人にとっての幸せなんです。それに差別や恫喝、暴力やゆすりが自由なら、それを受けたくない、でも暴力とか争いは起こしたくないって思うのも自由ですよね。そんな人たちはきっと自由や幸せを感じられていないと思います。そう考えると、天界はやっぱり平和で争いもなく、みんなが笑顔になれる良い世界です〕
〔本人が幸せと思ったら幸せって、だからといってその本人の幸せの定義を変えてしまったら本末転倒じゃないかしら？ それに『天界は平和な世界』ねぇ…… だから天界には、あなたみたいな、おつむも危機管理能力も足りない平和ボケした天使ばかり誕生するのかしらぁ？〕
〔……なんですか？〕
〔何よ～！〕
「うるせぇっ！ いちいち言い争うなっ！」
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