6.

9/18
前へ
/40ページ
次へ
 俺は掴み合いそうになる二人を制する。  制止してから、また消滅させられる前に頭を下げた。 「失礼しました」  俺の言葉が荒れたのが2回目ということもあり、2人は顔を見合わせていた。  しかし、天界の天使と魔界の悪魔かぁ…… 「それで、その……前から聞きたかったんだけど、どうして二人はそんなに、互いを嫌悪し合ってるんですか?」 〔それは、この人が魔界から来た悪魔だからです〕 〔何を言ってるのかしら? これが天界から来た天使だからに決まっているじゃない〕  2人はさも当たり前のようにそう答える。  いや、でも…… そんなはず…… 〔『これ』ってなんですか! 他人を軽はずみにモノ扱いするとか最低ですね。さすが悪魔、程度が知れてます〕 〔頭に脳みそが詰まっていない天使を、人扱いすることに抵抗があったのぉ。そんなことにすら気が配れないなんて、さすが平和な世界から来ただけのことはあるわねぇ〕 〔……なんですか?〕 〔何よ~!〕 「おいっ! これで何度目だっ!」  俺はまたもや掴み合いそうになる二人を制す。 「……ゴホン、失礼」  咳払いでごまかしつつ、俺は2人に気になっていたことを尋ねた。 「天界と魔界、っていうことは、住んでいる世界が違っているということですよね? それならどうして2人はお互い(天使は魔界、悪魔は天界)のことを知っているんですか?」  そう、俺が気になったのはこの点だった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加