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俺は掴み合いそうになる二人を制する。
制止してから、また消滅させられる前に頭を下げた。
「失礼しました」
俺の言葉が荒れたのが2回目ということもあり、2人は顔を見合わせていた。
しかし、天界の天使と魔界の悪魔かぁ……
「それで、その……前から聞きたかったんだけど、どうして二人はそんなに、互いを嫌悪し合ってるんですか?」
〔それは、この人が魔界から来た悪魔だからです〕
〔何を言ってるのかしら? これが天界から来た天使だからに決まっているじゃない〕
2人はさも当たり前のようにそう答える。
いや、でも…… そんなはず……
〔『これ』ってなんですか! 他人を軽はずみにモノ扱いするとか最低ですね。さすが悪魔、程度が知れてます〕
〔頭に脳みそが詰まっていない天使を、人扱いすることに抵抗があったのぉ。そんなことにすら気が配れないなんて、さすが平和な世界から来ただけのことはあるわねぇ〕
〔……なんですか?〕
〔何よ~!〕
「おいっ! これで何度目だっ!」
俺はまたもや掴み合いそうになる二人を制す。
「……ゴホン、失礼」
咳払いでごまかしつつ、俺は2人に気になっていたことを尋ねた。
「天界と魔界、っていうことは、住んでいる世界が違っているということですよね? それならどうして2人はお互い(天使は魔界、悪魔は天界)のことを知っているんですか?」
そう、俺が気になったのはこの点だった。
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