0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
抜かれずに残ったヘリ、つまり、選ばれなんだ部分は、新たにこねられた生地と混ぜ合わされるわけだが、もちろん、この新しい生地にも、すでにワシらの仲間は混入されており、こねくり回されたり、伸ばされたりして、この時に出会いというものが生じるわけだ。
みんな若い奴らばかりだよ。
ワシのような老いぼれなど、一粒もおらん。
選ばれた奴らは年長のワシを残して、ここを去っていく。
窯で焼かれた奴らが、一つ一つ大事そうに袋に包まれ、箱詰めされていくのを、ワシはいつも横目で見る役ばかり務めておる。
ここには、年功序列なんてモンは存在せん。
選ばれるか、選ばれんかの確率は、ほぼ半分のはずだ。
しかしなぁ、いくら何でも四十年というのは、自分でも長いと思うよ。
今のワシにあるのは、劣等感とか、後ろめたさばかりだよ。
周りはみんな変わっていくのに、ワシだけがいつまで経っても変わらんのだからなぁ。
ん、また始まるようだ。
ワシらを含むヘリが丸められ、新しい生地と混ぜ合わされ、平たく伸ばされ……
同じ繰り返しだ。
時々、思うんだがね。
この運命が神の思し召しだと言うんだったら、ワシに明示されたモンって、いったい何なんだろうかってね 。
最初のコメントを投稿しよう!