教授だって人間ですから。

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かつて戦争以前の日本人は肩書きや立場に、現代からすれば異常なまでのこだわりを見せ「肩書きや立場を弁(わきま)えて行動する」事に心血を注いだ。と言っても過言ではない。 それからすれば、現代の政治家たるや見事なまでの 体たらくぶりを見せており「失言」はニュースの的 になっているくらいの有り様である。 「政治家ならば、過去の日本人を見習え。」 I田(仮名)教授は愚痴を溢しているくらいだ。 そう言うI田教授が我々のゼミを代表する教授であり、仰ぎ奉るべき手本になっている。 かつてI田教授に、失礼を承知の上で訊いた勇気ある先輩がいた事を噂で耳にしている。 「I田教授にとって日本史とは、何ですか?」 「日本史とは、ミステリー小説のようなモノ」 その短文かつ洗練された言葉が講義を受ける上で、先ず心得ておかなければならない文言である。 I田教授は我々が想像するより遥かに多くの書籍に目を通している事でも知られている。
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