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叔母さんが車で島の病院に連れて行ってくれた。
そしてその診断は思った通りだったが、ショックは大きい。
身替わりの余命宣告。
「お母様と瓜二つの場所に癌があります。つまり恒世くんの命は数週間でしょう」
「もういい。家に帰る」
恒世の落ち込みようを見て、叔母さんはヒステリックに怒っていた。
「まったく姉ったらなんて酷い事するの。私利私欲のために魔術は使わないって約束したのに。しかも息子を犠牲にするなんて。コウセイ。大丈夫。私とヒカリが何とかするからね」
恒世と叔母由子は家に戻ると、資料室の中を調べて対策を考えた。
母幸恵は書き物をして考えるタイプだ。
何かヒントを残しているはず。
恒世もベッドの上に書物とノートを積んで母の行動を推理した。
「ヒカリ。今どこ?」
叔母は書物を開きながら光里に電話している。
「京都駅に着いた。でも、どこ探す?元彼からの手紙に住所は書いてなかったんでしょ?」
光里は横浜から新幹線で京都に向かい、駅ビルを歩きながら電話していた。
「清水寺だ」
恒世が代わって電話に出た。
「えっ?なんで」
「母はタイムスリップするつもりなんだ」
「まさか。嘘でしょ?」
恒世は母のノートを読んでその計画を見抜いた。
そこには相対性理論のような時間軸の計算式が書いてあった。
そして、清水寺の文字。
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