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夜空に願いを
月島と瞳は研究所を監視できるホテルの部屋で張込みを続けていた。容疑者を「キョロリン」の目で追跡するのだが、常時シンクロは瞳の消耗が激しいので、出てくるのを確認してから起動している。
「容疑者は中島翔太、35歳、瞳たちの一つ上のフロアの研究員だ。中島は外国の大使館職員との接触が疑われているが、巧妙に尾行を振切るので状況を把握できていない。地下鉄にでも乗られたら衛星でも追跡しきれないだろう」
「ううん、大丈夫だと思う。キョロリンは画像で見るだけじゃないの。理屈はよくわからないけど、どこへ行っても私について来るのと同じように、一度ロックオンした相手を追い続けることができるの」
月島は、瞳が操る兵器の能力にあらためて驚きを感じた。
こうして一週間ほど監視を続けているが、今の所特に変わった動きは無い。
二人は一日中、窓際に設置した超望遠カメラの映像をテレビで見ていた。顔認識ソフトの助けも借りているが機械任せにはできない。
「あっ、お兄ちゃん出てきた」
「間違いない、中島だ」
「じゃあ、起動するね」
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