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目を閉じて再生映像を見ながら、瞳の顔が赤くなる。
「見えたよ、店名は・・」
聞きながら月島は自分のスマホで検索する。
「先回りするぞ!」
月島は瞳の手を引いてホテルの外に出た。すぐにタクシーを拾って乗り込む。
「この店までお願いします」
月島はスマホの画面を見せて行先を指示した。運転手が二人を見る。
「バカ」
小声でそう言って、瞳は手で顔を隠してしまった。
テナントビルの地下一階がその会員制クラブになっていた。二人は少し離れた場所で地下入口を見張る。
「中島の現在地を見れるかい」
瞳は周りを気にしてから月島に抱きついたが、なぜか怒ったような顔をしている。
「女の子が一方的に抱きつくって、変だから」
それもそうだと思い、自然に恋人同士に見えるように瞳を抱き寄せた。
「見えたよ、この近くのコンビニから出てきた。時間調整かな」
「待ち合わせをしてるなら、相手もそろそろ来る」
月島は目だけ動かして周囲を確認した。
「大使館の車でも通れば、かなり怪しいんだが」
「捜そうか?」
「え?」
「イメージすると、キョロリンが画像検索してくれるよ」
どこまでも恐ろしい能力だ。
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