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「いた、大使館ナンバー。運転手を残して男が降りてくる。こっちに来るよ」
二人は抱き合ったままじっと様子を窺う。まず中島が現れ、店内に入った。少しして大使館職員も。
ここまで確認して引上げることにした。潜入には会員の紹介が必要だし、ずっと外にいるのも怪しい。瞳はちょっと残念そうにしていた。
月島は特定した密会場所と相手を特務機関に報告し、そっちの調査は専門部署に任せた。数日後、二人は瞳の定期健診で研究所を訪れた。
健診が終わる頃には18時を回っていた。その間、中島が桜弐号の研究フロアに来ることも、機密エリアに近付く様子もなかった。特に収穫も無く帰ろうかと思った時、特務機関から連絡が入った。
「所長!」
月島は所長室に駆け込んだ。既に城山と瞳も来ていた。
「先程私も防衛省から命令を受けた。緊急事態につき、桜弐号のテロ鎮圧に全面協力せよと」
月島たちの情報を元に諜報機関が地道な調査を続けた結果、中島に接触していた大使館職員は工作員であり、大規模なテロを計画していることが判明した。その内容は、研究所で開発中の最新兵器を暴走させて研究所もろとも破壊し、混乱に乗じて機密データを盗み出すことだった。全貌が解明されたときには既に計画決行日、作戦はスタートしていた。
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