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城山は30代半ばの知的で美しい女性だった。
「似てるけど親子じゃないわよ。歳はそのくらい離れてるけど。あなたはここに来る前は何してたの?」
「空挺部隊です。昨年の不審船による国籍不明工作員上陸時には掃討作戦に参加しました。その時に負傷して、やっと現場に戻れると思ったらここへ」
月島が実戦に参加しているように、日本の安全保障のリスクは年々大きくなっていた。それでも専守防衛を掲げる以上、自衛隊の活動は後手に回ることが多い。最終本土決戦兵器は、そういった不利な状況からでも国を守るために開発が始まったものだ。それらは「桜○号」という呼称が付けられているが、何号まであってそれぞれがどんなものであるのか、全体像は一握りの者しか知らない。
「そう、あの子を守る最適の人材というわけね。瞳ちゃん、月島さんに館内の説明をしてくるから着替えておきなさい」
城山は月島を案内し、次々にセキュリティレベルが高度な扉を通過していく。
「外から見たとき、屋上に天文ドームみたいのがあったでしょう?あれはこの国で私を含めて数名しか入れない、最高レベルの領域。桜弐号に係わる最高機密を隠すためのドーム」
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