深海から見上げる夜空

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 この状態に設置されてから、解明は急速に進んでいく。ある種の人間が像に触れると、天空の一点を指し示す光が発せられるのだ。やがてそれは、像とシンクロできる特定の脳波とDNAであることがわかり、日本中から適合しそうな人間が集められた。その中で唯一人、次の段階までシンクロできたのが山崎瞳だった。  「これは、特定の人間の意志で人工衛星を動かすための、照合と通信を行う装置。一度照合して人工衛星に脳波とDNAが登録されると、衛星側から操縦者の脳波を読取りにくるから、地球上のどこにいても衛星をコントロールできるの。但し、衛星は普段スリープ状態になってるから、使用の都度照合して衛星を起こす必要があって、その機能だけを現代のテクノロジーでポータブル化したのがこれよ。これ1個作るのに、何兆円もの費用がかかったわ」  城山は親指ほどのサイズの金属球を取出して見せた。  「瞳ちゃんは衛星とシンクロすると、衛星の目で地上のスマホ画面を読取ることができるし、最大で自分の周囲100mを焼き尽くすレーザーを撃てるの。今の所使えている機能はそれだけ」  「それだけでも、十分恐ろしい兵器です」  「そう、だから瞳ちゃんと照合装置は常に分離しておくことにしたの。これは後ほど、簡単な手術であなたの胸部に埋め込まれる予定よ」  「えっ?」     
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