1話

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「どおぃっあああ~」 冷蔵庫を開けた瞬間に、 漫画のようなオーバーリアクションとともに 大声を出してしまったのには訳がある。 昨日スーパーで、「お高いプリン」1個500円する高級なプリンが、セールで250円になっていた。半額だ。半額というのは非常に大きい。 そのプリンは今日食べる予定だった。 ゆっくりと味わって。 大きな天秤に、夏休みまであと1週間の小学生と僕を乗せたときに、両者が釣り合うくらい楽しみにしていた。 「プリン、プリン、プリン、プリ~ン」 今日1日はプリンのことだけ考えていた。 愛しき茉南ちゃんに声をかけられてもプリン。 心理学の講義中もプリン。 「はっはっはっは~お前をプリンにしてやろうか~はっはっはっは~」 プリン星出身の宇宙人''カラメルン''に僕の頭の中は支配されていた。 プリンが美味しくなるように努力もした。 普段食べている昼食、学生Aランチのご飯大盛りを 今日は小盛りにした。歩行速度もいつもの1.5倍で。そう、全てはプリンを楽しむためだ。
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