最上の愛

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高校2年生 葉羽 正彦の場合 都内にある普通の公立高校。創立30周年を迎えたこの高校は僕が1年生の頃、綺麗に塗装をし直したため30年経っているわりには綺麗だ。僕はそこに通っている。全校生徒約600人ほどの高校は、電車やバス、自転車、徒歩と色んな手段で多くの生徒が通学している。そんな僕も毎日徒歩で通っている。周りを意気揚々で通り過ぎていく生徒と僕が違うのは。 僕がいじめられている、ということだ。 キーンコーンカーンコーン 学校中にチャイムが鳴り響いた。 今日も長かった授業が終わった。そして、やっと帰りのホームルームがはじまる。 そしてその帰りのホームルームが終わる。僕以外の生徒はそのチャイムと帰りのホームルームの終わりを待ちに待っていただろう。だけど僕はその時を望んでいなかった。ここからさらに地獄がはじまるからだ。 僕がいるこの2年5組担任の若い男の釜田先生が教室を出て、他の生徒が部活へ行ったり荷物を整え帰ったりしている中、僕と、とあるグループの4人だけは、いつも教室に残っていた。僕に敵意丸出しの視線をぶつけて。 「やめてくれよ……」     
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