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誰もいない少し薄暗くなった教室に僕の声だけが響き渡る。その悲痛の声は当然誰の耳にも届かない。
「葉羽、はやく脱げよ」
そう言うのは同級生で同じクラスの山田達のグループで、そのリーダー格の山田だ。身長180近い山田の威圧感は僕の抵抗心を潰すにはもってこいだった。
『脱げ脱げ脱げ脱げ』
そんな大合唱が教室に響き渡り、もちろん僕の耳にも強く強く響いた。
僕は入学した時から今までずっといじめられて来た訳じゃない。
僕がいじめれるようになった原因は、いじめられているクラスメイトを助けたからだ。
僕は母親から、困っている人がいたら助けなさい。そう教わって齢17年生きてきた。僕はいじめの光景を目撃して、勇気を振り絞り、注意をしてしまったんだ。今思えばその言葉が決して開けてはいけないパンドラの箱だった。
そんなあたりまえのことをしただけで、次の日からターゲットが僕に変わった。
しかし助けたクラスメイトも夜が終わり、朝が来て、いつものように新しい日が始まると一変して敵になっている。
もちろん山田達以外のクラスメイトも自分に火の粉が振りかからないように、見て見ぬふりをしている。それをいい事に山田のグループは、教科の先生に注意しながら、授業中でも僕をいじめの標的にした。
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