最上の愛

7/21
前へ
/253ページ
次へ
「おい!!どうせおめぇだろチクったのよ!!」 山田は凄い剣幕で迫り、僕の胸ぐらを掴みいった。 僕じゃなかった。山田達が怖くてそんなこと言えるわけもなかった。そしていじめのことを母親に知られることも怖かった。 しかし、それを話しても山田はまったく聞く耳をもたない。 やがて、山田の怒りは頂点に。どんどん自分の顔が腫れていくのが自分でも分かった。最初、山田の拳を受けた時は、物凄い痛みを頬に覚えた。しかし何度も殴られ続けるとその痛みの感覚は麻痺していった。これが"殴られる"ということなのだろう。 しばらくすると気が晴れたのか、山田は掴んでいた胸ぐらから手を離して僕から離れた。僕はその衝撃で地面に崩れ落ちた。意識は朦朧としていた。 そして、山田は息を切らしながら 「これからもよろしくな」 とそう言い残して僕の元を去っていった。 そして、次の日。 今日もいつものように退屈した授業が終わり、帰りのホームルームが終わった。 山田以外のグループだったメンバーは、みんな山田を怖がるようにしてそそくさと帰っていった。 斜め前の席にいる山田がふいにポツリと吐き捨てた。 「くそ……あいつら怖気づきやかってよ……」 そして、さらに。     
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加