傷灯 - 消灯の時 -

6/10
前へ
/10ページ
次へ
 彼女に何故暗がりを愛するのか、尋ねたことがある。  「真っ暗なところには、想像の種がいっぱい落ちているの。 それを拾って育てるのが楽しいの!」 独特な答えだった。 それを聞いて、 ああ、彼女はやっぱり太陽なんだな、 そんな思いが頭芯をパッサと過っていった。 それに続き、僕にとって彼女の存在は必要不可欠であることを、思い新たに自覚した。 僕はずっと太陽を求めていたんだ。 彼女無くして、たぶん僕はずっと日の目を見ない種のままだったろう。 彼女との出逢いで、僕の世界はずいぶん拡がり発展した。 ほんのちょっぴり強引な彼女の積極さに、躊躇しながらも飛び込んだ先は、興味深いことばかりだった。 その積み重ねが、保守的価値観の僕を解き放っていった。 今では彼女が次にどう行動してくれるのか、待ち遠しく楽しみにしているほどなのだから。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加