【探して……】

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「何をするんですか! もしかしてあなたがボクの翼を盗ったんですか!?」 「……取れない」 「当たり前です! あなたの髪の毛も引っ張りますよ!」 本当にやろうとするので、智章は身を逸らしてそれを避ける。 「お前……何?」 「天使ですぅ!」 彼はにこやかに言った。 「……天使」 「天使は一人前になる為の試験があるんですが、そのひとつに地上でのミッションをクリアすると言うものがあるんです。でもお昼寝してたら翼が……」 嬉しそうに話していたその顔が急に曇り、また「びえーん!」が始まる。 「判った、判ったから、羽根しまえ!」 「あ、はい」 翼は音もなく消えた。 「それって、なくなるもんなの?」 「判りません……ボク自身は勿論初体験ですし、こんな話、見た事も聞いた事も……」 えぐえぐとしゃくりあげながら言う、智章は溜息ひとつ、タオルを出して彼の前に差し出した。 「ふぇ?」 「みっともないから拭け。乗りかかった舟だ、探すの手伝ってやる」 「ありがとうございますぅ!」 「見つかるとは言ってないからな!」 とりあえずバイトが始まる夕方近くまで、と心に念じて智章は立ち上がった。 昼寝をしていたと言う伊勢佐木町商店街の街路樹まで戻って来た。 確かにさっき彼を拾った場所だった、昼寝をしていたのは木の枝の上だと言う。     
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