4/6
前へ
/7ページ
次へ
 ――けれど、僕はその元凶であるこいつの事が嫌いではない。  自分にはできないことをやってのける。  それはいけないことなんだと見ていれば分かるんだけど、羨ましさが勝っていた。  人間の血である僕の側はとにかく弱かった。  そう。蹂躙する側と蹂躙される側に分けるなら、僕は蹂躙される側だったのだ。  悪魔の血が流れる時もそうだけど、それは滅多なことではない。  問題は人間の血は人間の血に住まい、闘争に明け暮れるという事。  生きることは情報空間と物理空間の戦争行為だ。  だから、僕はこいつの事を寧ろ好ましく思っていた。  そう。後片付けまでしっかりと出来てしまうこいつを。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加