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――けれど、僕はその元凶であるこいつの事が嫌いではない。
自分にはできないことをやってのける。
それはいけないことなんだと見ていれば分かるんだけど、羨ましさが勝っていた。
人間の血である僕の側はとにかく弱かった。
そう。蹂躙する側と蹂躙される側に分けるなら、僕は蹂躙される側だったのだ。
悪魔の血が流れる時もそうだけど、それは滅多なことではない。
問題は人間の血は人間の血に住まい、闘争に明け暮れるという事。
生きることは情報空間と物理空間の戦争行為だ。
だから、僕はこいつの事を寧ろ好ましく思っていた。
そう。後片付けまでしっかりと出来てしまうこいつを。
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