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優しく扱っているつもりなのだが、
急所を押えられたナカダ氏は
ただひたすら私の手元を見つめている。
「…リナ、分かったから」
ふるふると首を左右に振りながら
私は話を続けた。
「もしも、もしも浮気するんなら、
私には絶対バレないようにして。
万が一、私の耳に入ったら、
コレをちょん切ります。
ほ、本気なんですからねッ。
アナタを選ぶことは
己の身の危険を覚悟すること。
そこまでさせておいて浮気なんかしたら、
一服盛って、ぶった切ってやる!
極道の世界では
愛人がいるのは当たり前でしょうけど、
成田リナの世界でそれは有り得ません。
…ねえ、この約束を守ってくれますか?」
チンアナゴを私に握らせたまま
ナカダ氏は近づいてきて
耳元でそっと囁く。
「楽勝だっつうの。
だがな、
お前が俺の相手をきちんとすることが
大前提だぞ?
この性欲大魔神の欲求を
その都度、受け止めろよ?
…というワケで、今からしよっか。
させてくれないのなら浮気してやるッ」
綺麗に弧を描いた口元を眺めながら
やはり敵の方が一枚上手だと実感し、
私はその胸へと飛び込んだ。
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