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江藤奈都に断られた“翌週の木曜”の夜、僕はレストランで香子と会っていた。
目的は大詰めとなっている調停の件だ。
香子のような境遇は今時珍しくないかもしれない。
でも離婚歴を抱え一人で生きていく三十路の女の孤独や不安を思うと、関わった以上は手を抜く訳にはいかない。
夫婦の間にどんな経緯があろうと、相手の男は新しい伴侶と子供を手にして生きていけるのだから、本当ならもっと香子に譲歩し、痛みを負うべきだ。
個人的感情ではなく法の道を志した使命感によるものだが、そういう訳で僕は多忙な年末とはいえ時間を割き、すべての条件をできるだけ香子に有利にするため、念には念を入れて細目を確認していた。
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