遭遇と独占欲

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さあ、後で突っ込まれたらどうごまかすか? ビールを追加しながらあの席を見ると、迷子の姿はない。 通路で別れた時、トイレに向かったのだろう。 そういえば、香子もトイレだ──。 二人のニアミスに何となくヒヤッとする。 しかし、それと同時に迷子が通路に姿を現したので、僕は胸を撫で下ろした。 まあトイレで一緒になったところで酔った迷子がセミナーの講演者の顔を思い出すかどうかは怪しいし、香子もさすがに興味本意で話しかけたりしないだろう。
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