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ただ金銭がらみという事で、徳重としてもそこまで真剣な相談のつもりでは無かったのだろう。
相手は、赤の他人で中学生の三郷である。
徳重にしてみれば、愚痴でも溢した程度のつもりであったのだろう。ところが思いの外、三郷が食い付き話しが盛り上がってしまった。その勢いのまま、徳重も詳細について語ってしまったのだった。
「やっぱり、そうだったのかぁ。結局姉ちゃんは、全部知っていて探偵を気取っていたんだね」
「何よ、雪彦さんがあそこまでやるなんて、徳重さんも考えてなかったわよ。だから私の推理に、文句を言われる筋合いなんて無いの」
「まぁ、そういう事にしておいてあげるよ」
羽生の言い草に、三郷としては納得が行かなかった。しかし何にしても、徳重が危惧していたような最悪の事態にならずに済んだのも事実。
三郷としては、その事実にどこか満足気であった。よって羽生にも、寛容な態度を取っている。
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