エピローグ

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   三郷は語らなかったが、徳重は雪彦が何かしらの金銭トラブルを抱えていた場合。それを、財産の生前贈与という形を取る事を考えていた。  しかし実際のところ、兄妹間の話し合いで解決となった。  考えてみれば、雪彦の行おうとした事は、親の財布から金銭を抜き取るようなもの。それを、犯罪行為として立件出来るかは、三郷としても判断が出来ぬところ。  ただ今夜の出来事をマスコミに嗅ぎ付けられれば、やはりシスイグループとしてはダメージを受けていたであろう。  結果として、三郷は見事に探偵の役目を果たしたと言える。 「そう言えば、姉ちゃん。結局、蔵の鍵を開いたのは誰だったの?」 「あの狼狽えぶりからして、神沼さんでしょ」 「でもなぁ、何か納得が行かないんだよなぁ……」 「何よ、羽生。私の推理に文句ある?」  ハイヤーは、JR千葉駅西口へと到着した。      
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