第3話 金色の笑顔

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お花ちゃんからの来客情報はすぐに私の携帯電話に入ってくるようになっている。併せて店内の防犯カメラの映像も手元で確認できるようにしてくれた浅野には感謝の気持ちが大きすぎてもはや言葉がみつからない。 足元をアリの隊列が通り過ぎていく。木の実のかけらであろうか、あるいは人間の食べかすの一部であろうか、それとも他の生き物の体の一部であろうか・・・何かはわからないが、とにかく小さな白い塊を必死に運んでいく。 巣穴に吸い込まれていくアリの隊列を横に、私は空を見上げる。今日はやけに暑い日だ。 ーー !!!!! ーー 携帯が鳴っている。お花ちゃんセンサーが反応している。全くセンスのない記念タオルで汗を拭い、私は店の方へと向かった。 「いらっしゃいませ~」 店の中には高校生くらい少年が立っていた。どこかで見覚えがあるような、でも思い出せない。 「こんにちは、会うの久しぶりだね。」 クールな雰囲気の少年が、少し口角を上げて微笑んだ。 「・・海斗くん・・か?」 「はい」 最初に目に入って来た冷めた感じの少年。かすかに笑顔が見えた瞬間、すぐに思い出した。齋藤さんちの海斗くんである。 「こんなに大きくなって・・・最後に会ったのは海斗くんがまだ中学入る前だったからなぁ」 「本当、昔はお兄ちゃんにはよく遊んでもらってたからね」 懐かしい。小さくていつも私にちょこちょこくっついてきた男の子はたくましく成長していた。 「ちょっと休んで行けよ!母ちゃんも喜ぶし」 「いや、あの、お構いなくっ」 遠慮気味の海斗くんを接客用テーブルに(いざな)う。 「母ちゃんお客さんだよぉ」 いつも通り母を呼ぶ。 「はいはぁ~い」 奥から母が登場。 「あっらぁぁぁ~!海斗くんじゃないのぉ!こんなに大きくなって」 「お久しぶりです」 「ちょっと待っててねぇ~おばちゃん準備してくっから」 母は海斗くんと久々に会えて相当嬉しいのか、興奮した様子で奥へ下がっていく。「おもてなしテロ」の準備である。 「おばちゃん、相変わらず元気だね」 「すっげぇパワーだよな・・田舎のおばちゃんパワーってやつか?」 長年会っていなかったのだから当然といえば当然だが・・・話がなかなか進まない。お互いにぎこちない会話のやり取りを続ける。 「海斗く~ん、お待たせぇ」
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