第1話 「私はただの石屋です。」

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ただ、その自然界が創造した美しい色彩、触れた時の天然石独特のひんやりとした感覚に癒しの効果はあると思う。カラーセラピーのようなものであろうか。 客との会話の中で色合いを決めていく。好みの色。今の気分。そして使用する天然石が古くからどのような場面で使われてきたか(この点では少々呪(まじな)い的な意味合いもでてくるかもしれないが)。そういったことを話し合いつつアクセサリーを作り上げる日々。 私の店の石達や作るアクセサリーには摩訶不思議なパワーは一切込められていない。しかし、何らかの事情を抱え、わざわざこの田舎町の石屋を訪ねてくる人々が前向きに生きられるよう導くためのパートナーであってほしいと私は思っている。 今日も店内には外から心地よい光が、風が、川のせせらぎが、鳥の声が入ってくる。 ーー 色彩の石屋、今日も開店です ーー
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