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「あのっ・・・このお店のこと、ネットで知ったんですけど・・・お話しながら天然石の綺麗なアクセサリー作ってくれるって・・・」
「ええ、ゆっくりとお話をさせていただきながら一緒に石を選んで作らせていただいてます」
店を始めてからすぐ雰囲気で気づくようになった。この若い女性客は何か問題を抱えた人物でありそうだ。
「私のアクセサリー、作ってもらいたいんです!!」
その瞬間、それまでおどおどとしていた女性から何か強い意志を感じた。
私は軽く頷き、接客用のテーブルへと彼女を案内する。
「母ちゃん、お客様~」
「はいよぉ~」
母が奥から顔を出す。
「あっらぁ~~素敵なお客様っ!今お茶の準備いたしまっす♪」
田舎のおばちゃんというのは多くが突然の来客であろうと客が来たことを喜び、今準備出来る限りの中で最高のおもてなしをしようとする。私の仕事の場合、長く話しを聞きながらの接客となるので、母の「田舎のおばちゃん無差別おもてなしテロ」にはかなり助けられている。
ーーーーーー
「どうぞごゆっくりねぇ」
母は茶と数々の菓子類、そして自家製の煮物や漬物をテーブルに並べるとそのまま若干急ぎ足で戻っていった。大方これから世界びっくり大賞の再放送でも観るのであろう。
「どうぞ、食べながらお話していきましょう」
とりあえず取り箸で女性の分も盛り付けて渡す。
「ありがとうございますっ」
彼女が漬物を口へと運ぶ。
「おっ、おいしい!とってもおいしいですっ!!」
田舎には似合わないような清潔感のあるルックスの彼女はなかなか田舎料理を口にする機会などないのであろう。都会から来た人は大抵喜んでくれる。母に感謝だ。
「・・・何でも、お話ししてもいいんですよね?」
「個人情報はもちろん外部に漏らすことはありません。もともとお堅い職場にいたのでその点はご安心ください。」
すると彼女はゆっくりと語り出した。
彼女の名前は「紅谷詩織」県庁所在都市に住む28歳OL。実家住みで両親、祖父母、大学生の弟と同居している。
一見普通の可愛らしい印象のOLといった彼女だか、実は誰にも言えない秘密を隠していた。
「・・私、お腹に赤ちゃんがいるんです・・・」
「そうなんですか!おめでとうございますっ」
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