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おめでたと聞いて私がとっさに発した言葉。
それを聞いた途端、何故か彼女の目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。まずいことを言ってしまったのであろうか。
「えっ、あっ、大丈夫ですか!」
女の涙に焦って挙動不審になったってしまった。私は母が置いていった箱の形ががボコボコになっているBOXティッシュをすかさず渡す。しかし彼女は気丈に話しを続けた。
お腹の子の父親。彼女の元交際相手は同い年。大学時代からの付き合いで結婚の約束まで交わしていたほどであった。
しかし、適齢期を迎えた彼女が結婚について積極的な態度をとるようになったため、それが煩わしくなった元交際相手から別れを告げられたのだという。
28歳、若い青年はまだ家庭というものに縛られることなく自由気ままに生きていたかったのだろうか。
子供ができたとわかったのは別れた後。既に元交際相手には新たな交際女性がいると風の噂で聞いた・・・
「彼には伝えなくていいんですか?」
「彼のそばにはもう別の女の人がいるんです。だから、もういいんです!!」
可愛らしいルックスとは裏腹にしっかりと心を決めたように彼女は言い放った。そして少し涙が残るが母としての強さを秘めた瞳で言う。
「今日は気分を切り替えてお腹の子と二人一緒に生きていくための道標になってくれるようなアクセサリーを作っていただきたいんです」
彼女の前向きな言葉は、私の心を奮い立たせるには十分すぎるものであった。
「わかりました。素敵なアクセサリー、作りましょう」
早速、準備にとりかかる
「アクセサリーですと、定番の丸玉ブレスレット・ネックレス、金属パーツ使用ブレスレット・ネックレス・リング、ペンダントトップに金属・布製のいずれかお好きな紐をお付けする・・・といったものがございますが、いかがいたしましょうか?」
「じゃあ、私ペンダントトップがいい!」
即決だ。
「では、使用する石の方はいかがいたしましょう?店内をご覧になって何か気になられた石はございましたか」
ーー あの・・ピンクの可愛い石 ーー
彼女は店に入ってきた時からその一つの石の輝きに完全に心を奪われてしまっていたようだ。
紅水晶は、色の濃いものから薄いものまで様々あれど、全てにおいて「やさしいピンク色が穏やかに心を癒す」色彩の輝きを放っている。
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