03 彼との出会い

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 彼が出されたスリッパを履いた時、「尚憲さん!」と梨花が二階からけたたましく音を立てて下りてきた。  彼女は花柄のワンピースを着ていた。 「かなちゃんが出てくれたのね。ありがとう」 「やあ、梨花。今日はお招きありがとう。君から聞いていたとおり、奏多くん、素敵な弟さんだね」 「そう? だったらうれしいわ」  奏多は驚いた。  たった今、奏多は無礼な応対をしたばかりだというのに、なぜ梨花にそんな嘘をつくのだろうか。  これはきっと褒め殺しによる新手のいやがらせに違いない。  奏多の、梨花の恋人に対する第一印象は、最悪だった。
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